離婚後の子供の戸籍について
離婚をする際、離婚届に「婚姻前の氏にもどる者の本籍」という欄があり、ここには戸籍の筆頭者ではない者について書きます。
少しややこしい話ですが、「戸籍」とは、車で考えるとわかりやすいかもしれません。まず結婚すると、夫婦で同じ車(戸籍)に乗ることになり、離婚したら、また別々の車(戸籍)に乗り換えるわけです。
子供がいなければ、ここから先のお話は関係がないのですが、子供がいる場合は、ぜひ覚えておきたいことがあります。
まず、子供がいて離婚をした場合、子供は自動的に別れた夫の戸籍に入ります。
つまり、離婚をすると夫と子供は同じ車(戸籍)に乗り続け、妻だけが別の車(戸籍)に乗せかえられてしまいます。
男性に有利なように感じますが、現在の法律ではこうなっています。
ここで問題になるのが、妻が子供の親権を獲得した場合に、「実際に子供を育てるのは妻(母親)なのに、母と子は戸籍が別々」ということです。
ただ離婚届を出しただけでは、子供は夫(父親)の戸籍のままなのです。
そこでよく聞くのが、「母と子は同じ戸籍にしておきたい」というお話です。
「じゃあ、役所に行って母と子を同じ戸籍にしてもらえば・・・」と簡単に考えがちですが、これがダメなのです。
では、どうするのか・・・
「子の氏の変更許可申立書」という書類を、家庭裁判所へ提出する必要があるのです。そして、裁判所から許可をもらってから、役所へ行って子供を母の戸籍に入れる手続(入籍届)をするのです。
つまり、家庭裁判所を通さないと、子供を母の戸籍に入れることができない、ということです。
ここまでのお話を、図で見てみましょう。
「子の氏の変更許可申立書」を裁判所へ提出すると、午前中に出せば、その日のうちに許可が出ます。(但し、裁判所の支所、支庁などの場合は当日に審判が下りないこともあります。)うまく行けば、1日で裁判所の許可を取って、役所へ入籍届を提出できます。お仕事を何日も休む必要はありません。
裁判所と役所ではどうすればいいの?
まず、「子の氏の変更許可申立書」を裁判所へ提出できるのは、親権者だということです。必ず親権を持っている方の親が行ってください。
また、「子供が15歳以上の場合」は、子供本人が申立人となり、「子供が15歳未満の場合」は、親権者が申立人となります。
各都道府県の家庭裁判所の本庁では、即日審判といって、当日に審判書が入手できますが、家庭裁判所の支所、支庁では、当日に審判が下りないことがあります。例えば、神奈川では横浜家庭裁判所なら当日に審判が下りても、小田原家庭裁判所では下りない、といった具合です。
裁判所へ持って行くものとしては・・・
1.子の氏の変更申立書(家庭裁判所に置いてあります)
2.「子供と夫の戸籍謄本」と、「妻の戸籍謄本」
3.現金800円(収入印紙代)
4.印鑑(シャチハタ不可)
5.身分証明書(免許証等)
裁判所で許可がおりたら、その後、役所へ行きましょう。
ここでいう「役所」とは、届出人の所在地(現在住んでいる所)か、または本籍地の役所をいいます。
役所へ持って行くものとしては・・・
1.裁判所で受け取った審判書(許可書のこと)
2.「子供と夫の戸籍謄本」と、「妻の戸籍謄本」
(役所によっては不要ですが、念のため)
3.入籍届(役所の窓口で書きます)
4.印鑑(シャチハタ不可)
5.身分証明書(免許証等)
これで子供の戸籍を妻(母親)の戸籍に移してくれます。
役所では、何日くらいで戸籍の書き換えが完了するか確認するとよいでしょう。